(朝鮮日報日本語版) 【社説】米日中による韓半島での
(朝鮮日報日本語版) 【社説】米日中による韓半島での主導権争いが現実に 朝鮮日報日本語版 7月5日(土)11時33分配信 中国の習近平国家主席は来韓2日目となる4日、ソウル大学で講演を行った。中国の国家主席が韓国国内の大学で講演を行うのは今回が初めてだ。習主席が韓国語で「アンニョンハシムニカ」とあいさつすると、会場では大きな拍手が起こった。習主席は講演で、韓国の人気テレビドラマに言及し、映像資料や1万冊以上の書籍をソウル大学に寄贈することを表明。さらにソウル大学の学生100人を夏に中国で行われる語学研修などに招待すると述べた。これは相手国の国民に直接語り掛け、支持を得ようとする「チャームオフェンシブ」と呼ばれる外交手法で、今回は習主席自らこれを行ったわけだ。
講演で習主席は「韓国と中国の両国は歴史的に見て、危機の時には常に互いを支援し、共に克服してきた」「400年前の壬申倭乱(じんしんわらん、文禄・慶長の役)のときに、両国国民は共に(日本への)敵対心を持って肩を並べ、戦場に向かった」と述べた。さらに「20世紀前半には、日本の軍国主義による野蛮な侵奪、韓国と中国の領土の強奪など、両国は大きな苦難に直面した。(そのたびに)私たち(両国)人民は生死を共にし、互いを支援し合った」とも訴えた。しかし中国が韓国を侵略し、国土をじゅうりんして女性や子供を連れ去った歴史については一切言及しなかった。このように習主席が講演で、韓国と中国がかつて日本の侵略に共に抵抗した歴史のみを一方的に取り上げた理由ははっきりしている。日本で安倍政権が発足して以降、中国と日本の対立は一層深刻化しているが、その状況で中国は韓国を自分たちの側につかせ、共同で日本に対抗したいと考えているのだ。
習主席は前日に行われた朴槿恵(パク・クンヘ)大統領との首脳会談でも「来年は中国の抗日戦争勝利および韓半島(朝鮮半島)光復(日本による植民地支配からの解放)70周年だ」と指摘し、韓国と中国が共同で記念行事を執り行うことを提案したという。両首脳は今回、2日間にわたり日本による歴史歪曲(わいきょく)などに対して深く意見を交換したとも伝えられている。しかしこれらについては首脳会談直後に発表された共同声明の中に一言も言及されなかった。習主席による提案が明らかになったのは、中国国営メディアが報道したからだ。二国間の首脳会談で第三国の問題ついて意見を交換したとしても、その内容は公開しないのが外交慣例であり国際的な常識だ。もちろん中国が今回、この慣例を無視したとは断言できない。しかし中国は習主席の発言や国営メディアの報道を通じ、現在の「中国対米国・日本」という対立構図において、韓国を中国の側に引き付ける狙いがあることを表明する形となった。
また習主席は今回の来韓を通じ「中国が主導する新しいアジアの秩序」に韓国が参加し、重要な役割を果たすよう望んでいることも明らかにした。現在、中国の外交は米国による中国包囲網を打破することにある。習主席は今年5月、上海で開催されたアジア相互信頼醸成措置会議(CICA)で「アジアの安全はアジアの人たちが守らねばならない」と主張し、この地域の安全保障に中国が中心的な役割を果たそうとする考えを明確にしたが、これもやはり米国の中国包囲網に対抗するために他ならない。韓国はこの会議に出席したが、明確な立場は今なお表明できていない。
習主席はソウル大学での講演で「中国はアジア・インフラ投資銀行(AIIB)の創設を提案した。関係国が積極的に参加することを希望している」とも述べた。AIIBは米国と日本が主導するアジア開発銀行(ABD)=本部:フィリピン=に対抗するため、中国が中心となって運営するアジア専門の銀行という性格が強いが、米国は中国によるこれら一連の動きには強く反対している。韓国政府はAIIBへの参加についても「最終決定は後から決めたい」として今のところ立場を明確にしていない。
習主席の来韓に合わせるかのように、日本と北朝鮮はこれまで以上に一歩近づいた。北朝鮮は4日、日本人拉致問題の再調査を行う特別委員会の構成メンバーを日本側に伝え、これに合わせて安倍政権は北朝鮮に対する独自制裁の一部を解除した。具体的には北朝鮮国籍を持つ者の日本への入国制限、北朝鮮への送金および現金持ち出しの制限、人道目的の船舶の入港規制などが解除されたのだが、これらは2006年に北朝鮮が最初の核実験を行った直後、日本が独自に行ってきた北朝鮮制裁の一部だ。この流れが今後も進めば、近いうちに北朝鮮と日本による外相会談や、安倍首相による北朝鮮への電撃訪問なども十分予想できるだろう。安倍政権は自分たちが行っている歴史問題での挑発により韓国との外交ルートがほぼ断絶状態になったため、北朝鮮に接近することで、韓半島における日本の存在感を一層高めようとしているのだ。
米国は日本による北朝鮮への独自制裁の一部解除について「理解する」との考えを表明した。その一方で米国の主要メディアや専門家たちは、習主席にの来韓について一斉に「中国は韓日関係の悪化を利用し、米国と同盟国との関係にくさびを打ち込もうとしている」などとあからさまに懸念を示した。米国のオバマ政権が掲げる「アジア回帰戦略」は、今のところアジア各国から大きな信頼を得るには至っておらず、韓日関係の悪化で韓米日3カ国による安全保障体制も思い通り進んでいない。米国としては韓半島を舞台に繰り広げられる主導権争いで、中国が一歩先を進むという事態を懸念せざるを得ない状況だ。
大韓民国は今、重大な岐路に立たされている。今回の習主席の来韓と日本による北朝鮮への接近により、韓半島を取り巻く周辺国の覇権争いは遠い未来のことではなく、われわれの目の前で展開される現実のものとなりつつある。120年前にわれわれの先祖たちは国際情勢への無知と度重なる判断ミスにより、国を失うというつらい事態を招いた。われわれは今まさにこのつらい歴史を思い起こさざるを得ない状況に直面しているのだ。
韓国は今後も米国との強固な同盟を維持すると同時に、中国との同伴者関係も進める道を探っていかざるを得ない。これは韓国にとってどうしようもない宿命だ。しかし原則のない綱引きばかりやっているようでは駄目だ。韓国の国益に合致しない問題に対しては、はっきり「ノー」と言えなければならない。何がこの国を守り、国民の生活を豊かにする道なのか、あるいはどうすれば北朝鮮の脅威を克服し、早い時期に統一を実現すると同時に、北東アジアと世界の平和、さらには人権問題の改善に貢献できるか。これらを中心に据えた上で、韓国は今後も引き続き外交の活路を見いだしていかなければならない。
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